相談関係の5つの要件「聞き出す力」
お客さんの悩みは質問して教えてもらうのではなく会話で話をさせる
2026年9月15日
課題解決型営業とは、お客さんに悩みを言ってもらい、アドバイスを受け入れてもらう営業。
この営業では、お客さんとの相談される関係が必要です。
お客さんの要望 を言ってもらうのではなく、要望の背後にある悩みを言ってもらう営業。
お客さんから依頼されるのではなく、アドバイスを受け入れてもらう営業。
しかし、現実はお客さんの要望を聞いてくる営業、依頼に応えるばかりの営業になってしまっている人が多い。
みなさんはいかがでしょうか?
ある日、人材紹介会社セントスタッフの営業担当Aさんが設備機器メーカーのリーディング製作所を訪問しました。
訪問してお客さんの要望を聞いてみると、
・20代の営業経験者を3人採用したい。
・ 製品の技術的な要件は技術部が同行して対応するので設備機器業界未経験者で良い。
・マネージャー自身が30代前半なので、20代の若手が欲しい。
そして、営業担当Aさんは、
「若手の営業社員を採用したい理由をお聞かせいただけますか?」
お客さん
「20代の営業社員を採用したんですが辞めちゃったんです」
「昨年、5人採用したんだけど、3人辞めて残っているのは2人だけ」
営業担当Aさん
「そうなんですか、大変ですね」
「辞めてしまった理由を聞いてもいいですか?」
お客さん
「マネージャーが新入社員の面倒を見れないみたいで・・・」
「うちの会社は営業社員が少ないから、マネージャーも営業活動で忙しいんですよ」
営業担当Aさん
「そうなんですか、他の会社も面倒見てもらえないって理由で辞めちゃう若手が多いんですよ」
「他に辞めてしまった理由ってありますか?」
お客さん
「うちの営業部は人間関係も悪くないし、入社して1年も経たないで辞めたので、面倒を見れなかったことぐらいだと思います」
営業担当Aさん
「そうですか・・・」
「そうしたら30代で業界経験があって自分で対応できる人材の方がいいと思うんですがいかがでしょうか?」
お客さん
「営業部が20代がいいって言っているので・・・」
「だから採用したらちゃんと営業部に面倒を見てもらわないと」
営業担当Aさん
「そうですか」
「マネージャーは忙しそうですけど、面倒を見れそうです か?」
お客さん
「いや、わかりません」
「でも、見てもらわないと困るんです」
営業担当Aさん
「わかりました、20代の営業経験者を探してご紹介させていただきます」
Aさんはお客さんの状況や課題を聞いてアドバイスしていたのに受け入れてもらえませんでした。
「マネージャーが新入社員の面倒を見れない」
「うちの会社は営業社員が少ないから、マネージャーも営業活動で忙しい」
マネージャーが新入社員の面倒を見れないのであれば、「30代で業界経験があって自分で対応できる人材の方がいい」というアドバイスは正しいはずなのに・・・
20代の若手を採用しても辞めてしまうかもしれないのに・・・
なぜ、Aさんはアドバイスを受け入れてもらえなかったのでしょうか?
セントスタッフのAさんが訪問した翌日に人材紹介会社ポータルエージェントの営業担当Bさんもリーディング製作所を訪問していました。
営業担当Bさんもお客さんの要望を聞いた後・・ ・
「若手の営業社員を採用したい理由をお聞かせいただけますか?」
お客さん
「20代の営業社員を採用したんですが辞めちゃったんです」
「昨年、5人採用したんだけど、3人辞めて残っているのは2人だけ」
営業担当Bさん
「そうなんですか、営業社員が10人しかいないのに3人辞めたって大変ですね」
「大丈夫なんですか?」
お客さん
「いやー、営業部では大変みたいですよ」
「1人あたりの担当顧客が多くてフォローしきれないみたいです」
営業担当Bさん
「御社の営業だと、技術部と一緒に提案書を作成したり、販売後も設備機器の運用状況を確認したりと負担が多いから大変そうですね」
お客さん
「そうなんですよ、新規開拓営業もやらないといけないのにぜんぜんできてないらしくて・・・」
営業担当Bさん
「それは、まずいですね、早く営業社員を採用しないと・・・」
「3人が辞めてしまった理由を聞いてもいいですか?」
お客さん
「マネージャーが新入社員の面倒を見れないみたいで・・・」
「うちの会社は営業社員が少ないから、マネージャーも営業活動で忙しいんですよ」
営業担当Bさん
「そうなんですか、うちの会社のマネージャーも担当顧客を持って営業してるので、ほとんど会社にいないんですよ」
お客さん
「そうなんですか、うちの会社も同じですよ」
「だからマネージャーがほとんど会社にいないみたいで・・・」
営業担当Bさん
「えっ、マネージャーが会社にいないで大丈夫なんですか?」
「御社の場合、技術部と一緒に提案書を作ったり、社内調整も多いですよね?」
お客さん
「一緒に提案書を作るだけならいいんですけど、技術部を説得しないといけないシーンが多いみたいです」
「営業がお願いしても、技術部も人数が少ないので対応できないって言われることが多いみたいで・・・」
営業担当Bさん
「技術部の説得も多いんですね、新入社員には難しくないですか?」
「うちの会社では、営業の新入社員がキャリア カウンセラーと調整する場合にマネージャーが一緒に対応しているんですよ」
お客さん
「そうですよね、新入社員にとっては難しいですよね・・・」
「うちの営業部でもマネージャーが間に入ってあげないといけないんですけど、マネージャーが会社にいないことが多くて・・・」
営業担当Bさん
「でしたら、30代で業界経験があって自分で対応できる人材の方がいいんじゃないですか?」
お客さん
「たしかに、20代の若手には難しいかもしれないな・・・」
「20代を採用するなら マネージャーが面倒を見れるようにする、面倒を見れないのであれば30代を採用するように営業部と話してみますよ」
営業担当Bさん
「わかりました、来週ぐらいまでに結論がでますか?」
お客さん
「今週中に話し合って来週には連絡しますよ」
ポータルエージェントのBさんはアドバイスを受け入れてもらうことができました。
「30代で業界経験があって自分で対応できる人材の方がいい」というアドバイスに対して、
お客さんは「営業部と話してみますよ」
セントスタッフのAさんが受け入れてもらえなかったのに、なぜ?
AさんとBさんの会話を比べてみましょう。
セントスタッフのAさんもポータルエージェントのBさんもアドバイスするために、辞めてしまった理由を聞いていました。
Aさんが聞けた理由は、
「マネージャーが新入社員の面倒を見れない」「マネージャーも営業活動で忙しい」
Bさんが聞けた理由は、
「マネージャーが新入社員の面倒を見れない」「マネージャーも営業活動で忙しい」に加えて・・・
「技術部を説得しないといけないシーンが多い」「マネージャーが間に入ってあげないといけないんですけど、マネージャーが会社にいない」「新入社員にとって難しい」
そして、AさんとBさんのアドバイスを比べてみると・・・
Aさんは、
「マネージャーが新入社員の面倒を見れない」「マネージャーも営業活動で忙しい」というお客さんに対して、
「30代で業界経験があって自分で対応できる人材の方がいい」というアドバイス。
Bさ んは、
「技術部を説得しないといけないシーンが多い」「マネージャーが間に入ってあげないといけないんですけど、マネージャーが会社にいない」「新入社員にとって難しい」というお客さんに対して、
「30代で業界経験があって自分で対応できる人材の方がいい」というアドバイス。
みなさんは、どちらのアドバイスの方が真剣に考えよう、考えないといけないと思いますか?
なぜ、この差が生まれたのでしょうか?
AさんもBさんも、同じく辞めてしまった理由を聞いてアドバイスしていたのに・・・
この差が生まれた大きな原因は”聞き方”です。
セントスタッフのAさんは、質問という手段で聞いていました。
「辞めてしまった理由を聞いてもいいですか?」
「他に何か辞めてしまった理由ってありますか?」
ポータルエージェントのBさんは、自分の考えやネタを使い会話という手段で聞いていました。
はじめは、「辞めてしまった理由を聞いてもいいですか?」と質問していますが、その後・・・
「うちの会社のマネージャーも担当顧客を持って営業してるので、ほとんど会社にいない」と話したら、
お客さんは「うちの会社も同じ、マネージャーがほとんど会社にいない」と話してくれました。
「大丈夫なんですか?」と質問するだけでなく、「技術部と一緒に提案書を作ったり、社内調整も多い」と話したら、
お客さんは「技術部を説得しないといけないシーンが多い」と話してくれました。
「うちの会社では、営業の新入社員がキャリアカウンセラーと調整する場合にマネージャーが一緒に対応している」と自分の会社の話をしたら、
お客さんは「うちの営業部でもマネージャーが間に入ってあげないといけないんですけど、マネージャーが会社にいない」と話してくれました。
セントスタッフのAさんは、聞きたいことを直接的に質問して、お客さんに教えてもらおうとしていました。
ポータルエージェントのBさんは、自分の考えやネタを使って、お客さんに話をさせようとしていました。
質問という手段は、相手に意図を感じさせ、話(回答)の範囲を限定させてしまいます。
「辞めてしまった理由を聞いてもいいですか?」という聞き方(=質問)は、相手に辞めてしまった理由の範囲内で返答しようと感じさせてしまいます。
対して、自分の考えやネタを使った会話という手段は、範囲を限定させず、考えやネタに関係することを自由に話そうとさせることができます。
「技術部と一緒に提案書を作ったり、社内調整も多い」というネタを話すと、相手の状況や意識によっては・・・
「技術部を説得しないといけないシーンが多い」という話の他にも、
「提案書の作成には時間がか かって大変」と話してくれるかもしれません。
「技術部以外にも企画部との調整が多い」と話してくれるかもしれません。
「提案書を作成するだけじゃなく、顧客への提案も技術部と同行している」と話してくれるかもしれません。
つまり、会話という手段は、範囲を限定せずに相手に様々な情報について話をさせることができます。
また、自分が話した考えやネタに対して、相手が重要と思っていたり、興味のあることについて話をさせることができます。
質問の意図にとらわれず、相手が重要と思っていたり、興味のあることを聞き出すことができるのです。
質問の意図である「辞めてしまった理由」以外にも、相手が重要と思っていたり、興味のある「技術部を説得 しないといけないシーンが多い」「マネージャーが間に入ってあげないといけない」・・・
その結果、相手が重要と思っていたり、興味のあることを聞き出すことができ、その相手が重要と思っていたり、興味のあることに対して、自分の考えをアドバイスとして伝えることができるのです。
そのため、自分のアドバイスがより受け入れてもらいやすくなるのです。
多くの営業現場を見ていると、お客さんのことはお客さんに教えてもらうという意識、聞きたいことは教えてもらうという意識から”質問”という手段に頼っている人が多く見受けられます。
しかし、悩みを言ってもらいアドバイスを受け入れてもらうという相談関係には・・・
自分の意図を感じさせず、自由に様々な情報について話をさせる”会話”という手段が必要です。
相手が重要と思っていたり、興味のあることについて、教えてもらうのではなく、話をさせる”自分の考えやネタを使った会話”という手段が必要です。
お客さんの要望だけでなく、課題や原因、その背景、また課題に関係すること・・・様々な情報を聞き出すことができれば、より的確なアドバイスを考え伝えることができます。
そのためには、質問して教えてもらうのではなく、会話の中で聞き出す力が必要です。
お客さんと相談関係を築きたいのであれば、お客さんに話をさせることができる自分の考えやネタを準備して訪問し、質問ではなく会話で聞き出しましょう。
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