top of page

聞き出す力の基本

課題、予算、決裁者の意向・・・顧客情報は直接的に聞くのではなく原因や背景から聞き出す

2025年9月15日

様々な会社の営業に関わっていると様々な人がいます。

 

お客さんから様々な情報を聞いてこれる人

お客さんに聞いても教えてもらえない人

そもそも商品説明ばかりでお客さんに情報を聞こうとしない人

・・・

 

お客さんから様々な情報を聞いてこれる人と聞いても教えてもらえない人の違いはどこにあるのでしょうか?

 

 

オフィス家具メーカーのセント製作所の営業担当Aさんがお客さんのリーディングジャパンと打ち合わせしていました。

 

リーディングジャパンの総務担当Bさん

「来年に本社を移転するんです」

「コロナ禍以降、働き方もずいぶんと変わったので、レイアウトからデスクなどの家具まですべて変えようと思っているんです」

 

営業担当Aさん

「そうなんですか」

「当社では大手製造業の実績も多いので、ぜひご協力させてください」

 

Bさん

「そうですか、他のオフィス家具メーカーさんにもお声がけしているんですが、御社もよろしければお願いします」

 

Aさん

「移転先はどちらになるんですか?」

と移転先の場所やフロアの広さ、組織や社員数、社員の働き方など必要な情報を聞いた後・・・

 

Aさん

「最近は、アクティビティ・ベースド・ワーキングといってカフェスペースや個室など様々な環境を作って、社員それぞれの働き方に合わせた自由度の高いレイアウトが増えているみたいです」

「ただ、組織のマネジメントがしにくくなると言う企業様もいらっしゃいますけど、御社ではどういうレイアウトをお考えですか?」

 

Bさん

「そうですね、フリーアドレスの会社が多いみたいだけど、どういうレイアウトがうちの会社に合うのか数社の提案を聞いた後に考えようと思っています」

 

Aさん

「そうですか・・・」

「ご予算はどのくらいですか?」

 

Bさん

「予算も提案を聞いた後に考えようと思っているんです」

 

Aさん

「わかりました、概案にはなりますが複数パターンを考えてご提案させていただきます」

 

といってAさんは会社に戻り、設計部と一緒に3パターンの提案書を作成しました。

そして3週間後にリーディングジャパンに提案しました。

 

 

提案して2週間後に電話してみると・・・

 

リーディングジャパンの総務担当Bさん

「他の会社にお願いすることになったんです」

「御社には3パターンも提案していただいたのに、すみません」

 

営業担当Aさん

「そうですか、他社さんを選んだ理由を教えてもらえますか?」

 

Bさん

「御社の提案も良かったんですが、他の会社の方が当社の要望に対してレイアウトを具体的に考えられていたことと、当社の予算と合っていたんです」

 

Aさんは、電話を切った後・・・

 

えっ、レイアウトの要望は決まっていたの?予算は決まっていたの?

「当社の要望に対してレイアウトを具体的に考えられていた」「当社の予算と合っていた」って言ってたけどレイアウトも予算も提案を聞いた後に考えるって言っていたじゃないか。

なんで決まっていたのに教えてくれなかったんだよ!

 

 

なぜ、Aさんはレイアウトの要望や予算を教えてもらえなかったのでしょうか?

みなさんも考えてみてください。

 

 

リーディングジャパンの案件を受注したのは、競合のポータルオフィスコンサルティングでした。

 

ポータルオフィスコンサルティングの営業担当者Cさんとリーディングジャパンの打ち合わせ・・・

 

Cさん

「移転先はどちらになるんですか?」

と移転先の場所やフロアの広さ、組織や社員数、社員の働き方など必要な情報を聞いた後・・・

 

Cさん

「営業の人は外出が多いでしょうけれど、技術の人はテレワークが多いんですね」

「御社の場合、提案は技術的な要件が多いから営業と技術が一緒に作らないといけないですよね」

「打ち合わせは大変なんじゃないですか?」

 

リーディングジャパンの総務担当Bさん

「そうなんですよ、だから技術部長がテレワークを減らそうとしているみたいなんです」

 

Cさん

「そうなんですか、御社では自動化の開発を強化しているので営業と技術の連携は重要ですよね」

「うちの会社も働き方コンサルティングの提案が増えているので、提案以外の商談でも設計部と確認しながら進めないといけなくなっているんです」

 

Bさん

「御社もそうなんですか、うちの会社も営業と技術の連携は以前よりも重要になっているんですが、テレワークが増えてから提案の精度が落ちたみたいで」

 

Cさん

「やはり営業と技術は近くにいて気軽に相談できる環境が必要ですよね」

 

Bさん

「そうなんです、だから移転後のレイアウトは営業部と技術部の席を固定して近くにしようと思っているんです」

 

Cさん

「今回、本社を都心に移転されるようですけど、関東に8つある拠点も集約していくんですか?」

 

Bさん

「そうなんです、3年間で8つの拠点を5つに集約する予定で、本社を移転した後で横浜支社と小田原支社、大宮支社と所沢支社、宇都宮支社と高崎支社を統合して、名古屋支社と大阪支社を含めて5拠点にする予定なんです」

 

Cさん

「そうなんですか、3年間でずいぶん大掛かりな拠点の再編ですね」

 

Bさん

「そうなんですよ、だから今回の移転は内装と設備で5,000万円におさえたいんですけど」

 

Cさん

「そうなんですか、御社の規模だと少々厳しいような気もしますが予算も考慮して提案を考えてきます」

 

Bさん

「ありがとうございます」

「ご提案お待ちしてますのでよろしくお願いします」

 

 

ポータルオフィスコンサルティングのCさんは、レイアウトの要望や予算を教えてもらっていました。

「営業部と技術部の席を固定して近くにしようと思っている」

「内装と設備で5,000万円ぐらいにおさえたい」

 

セント製作所のAさんは教えてもらえなかった。

ポータルオフィスコンサルティングのCさんは教えてもらえた。

 

AさんとCさんは何が違うのでしょうか?

 

 

AさんもCさんもレイアウトの要望や予算を聞いています。

違うのは聞き方・・・

 

Aさんは、直接的に質問しています。

「御社ではどういうレイアウトをお考えですか?」「ご予算はどのくらいですか?」

 

Cさんは、レイアウトの要望について

「自動化の開発を強化しているので営業と技術の連携は重要」「営業と技術は近くにいて気軽に相談できる環境が必要」と会話をした後に、

「営業部と技術部の席を固定して近くにしようと思っている」と教えてもらっています。

 

「自動化の開発を強化しているので営業と技術の連携は重要」「営業と技術は近くにいて気軽に相談できる環境が必要」は、レイアウトの要望の原因(「どういうレイアウトが良いのか」の根拠)です。

Cさんは、このレイアウトの要望の原因から会話して、レイアウトの要望を聞き出しています。

 

また、予算について、

「関東に8つある拠点も集約していくんですか?」「3年間でずいぶん大掛かりな拠点の再編ですね」

と会話した後に、

「内装と設備で5,000万円におさえたい」と教えてもらっています。

 

「関東に8つある拠点も集約していく」「3年間でずいぶん大掛かりな拠点の再編」は、予算の背景(予算を考えるうえで考慮すること)です。

Cさんは、この予算の背景から会話して、予算を聞き出しています。

 

Aさんは、レイアウトの要望や予算を直接的に聞きました。

Cさんは、直接的に聞くのではなく、レイアウトの要望や予算の原因や背景の会話から聞き出しました。

 

その結果、Aさんは教えてもらえなかったのに、Cさんは教えてもらえました。

 

 

営業では、お客さんから教えてもらえない、教えてもらいにくい情報がたくさんあります。

明確になっていない課題や要望、予算や決裁者の意向、コンペのときの競合会社の情報、・・・。

 

お客さんの立場で考えると、教えられない情報、教えたくない情報、教えにくい情報はたくさんあります。

明確になっていないことや知らない決裁者の意向は教えられない。

予算など言わない方が得するかもしれない情報は教えたくない。

コンペのときの競合会社の情報など内情は教えにくい。

 

これらの教えられない情報、教えたくない情報、教えにくい情報は直接的に聞いても教えてもらえません。

「どういうレイアウトをお考えですか?」「ご予算はどのくらいですか?」

 

しかし、教えられない情報、教えたくない情報、教えにくい情報の原因や背景から会話は、相手が話しやすい、話してしまう流れを作ることができるのです。

 

「自動化の開発を強化しているので営業と技術の連携は重要」→「営業と技術は近くにいて気軽に相談できる環境が必要」→そのためにはどういうレイアウトが良いのか?

という会話の流れで「営業部と技術部の席を固定して近くにしたい」を相手が話しやすくなる。

 

「関東に8つある拠点も集約していく予定」→「3年間でずいぶん大掛かりな拠点の再編」→そうすると予算をどのくらいとれるのか?

という会話の流れで「予算を5,000万円におさえたい」を相手が話してしまう。

 

 

お客さんにとって、教えられない情報、教えたくない情報、教えにくい情報を教えてもらうためには、直接的に質問して聞くのではなく、自分が聞きたいことの原因や背景について会話し、聞きたいことを相手が話しやすい、話してしまう流れを作り聞き出すのです。

 

聞きたいことの原因や背景の会話→聞きたいことを聞き出す・・・これが聞き出す力の基本です。

 

聞き出す力の基本

①.あらかじめ聞きたいことを明確にする。

②.あらかじめ聞きたいことの原因や背景を考える。

③.お客さんとの面談で、直接的に聞くのではなく、原因や背景について会話する。

④.原因や背景の話の流れで聞きたいことを聞く。

 

この①~④を繰り返し行っているとお客さんから様々な情報を聞き出す力が身につきます。

 

 

営業はお客さんの情報があればあるほど、より良い提案や対策を考えられ売上の上がる仕事です。

しかし、営業にとって聞きたい情報の大半は、お客さんにとって、教えられない情報、教えたくない情報、教えにくい情報です。

 

お客さんの情報をより多く集めるためには、直接的に聞くばかりでなく、聞きたいことの原因や背景の会話から聞き出しましょう。

有料会員限定コンテンツです。
会員の方はログインしてください。

​関連するアドバイス

顧客情報のタイプと聞き出す方法

顧客情報は質問で”聞く”ではなく仮説の提示か会話で”聞き出す”

相談関係の5つの要件「悩みの共感」②

課題や原因を聞くよりも背景について会話し共感する

クロージング力の強化①

予算・決裁者・競合…理由でなく原因と背景から対策を考える

顧客の情報は雑談で聞き出す

質問では収集できる情報が限られる

課題・ニーズ発掘のヒアリング

受注を獲得するための課題を聞き出すためには「顧客課題の背景から聞き出す」

bottom of page