なぜなぜで顧客に原因を聞く方法
「なぜ」の前のオウム返しと共感が否定的な印象を打ち消し原因追及を可能にする
2025年11月15日
予算や納期の交渉、提案での説得、決裁者の説得・・・
営業で対策を考えるためには、お客さんの背景を知ることが大切です。
そのためにはお客さんが話してくれたことを聞くだけではなく、「なぜなぜ」による原因追及は必要。
なぜ、予算がとれないのか?・・・業績が良くないから
なぜ、業績が良くないのか?・・・新商品が売れないから
なぜ、新商品が売れないのか?・・・商品企画が弱いから
・・・・・
しかし、「なぜなぜ」を続けていると、
お客さんは、追求されている、突っ込まれている、否定されているように感じてしまう。
そのため、印象を悪くすることを恐れて「なぜ」を聞けず原因や背景を把握できない。
そして、対策を考えられず失注・・・。
シ ステム開発会社セントテクノロジーでは、営業担当Aさんが人材派遣会社ヒューマンリーディングにWEB会議システムを提案しました。
しかし、決裁者の営業担当役員が反対していて案件が進まない。
Aさんは、営業会議で上司から指導されました。
「なぜ反対しているのかわからないと、営業担当役員を説得できないだろう」
「すぐに訪問して、なぜ反対しているのか聞いてくるように」
Aさんはアポイントをとって3日後にヒューマンリーディングを訪問しました。
営業担当Aさん
「先日、営業担当役員の桜井さんが反対しているっておっしゃってましたけど、なぜ反対されているんですか?」
ヒューマンリーディングBさん
「桜井は「営業は直接会って話をすることが大切、WEB会議システムは必要ない」って言っているんです」
Aさん
「そうなんですか、でも営業現場は必要って言っているんですよね」
「それなのに、なぜ必要ないっておっしゃっているんですか?」
Bさん
「そうなんですけど、営業が必要って言っているのは、楽したいからだって決めつけてるんです」
Aさん
「でも、実際に外出が多くて困っているんですよね」
「桜井さんもご存じだと思うのですが、なぜ楽したいからだって思ってるんですか?」
Bさん
「知っているけど、お客さんへの訪問が減って関係が弱くなることを心配してるんだと思います」
Aさん
「WEB会議システムを使うとお客さんと頻繁に打ち合わせできるようになるのに、なぜ関係が弱くなることを心配されているんですか?」
Bさんは、ちょっと不機嫌そうに
「なぜなぜって聞きますけど、私にもわからないですよ」
「桜井を否定しているようですけど、彼も営業の責任者なので真剣に考えて反対しているんです」
Aさん
「すみません、否定しているつもりはなかったんですが申し訳ありません」
Aさんは一生懸命に原因をこうとしただけなのに、Bさんは不機嫌になり怒られてしまいました。
会社に戻ると上司から
「Aさんの聞き方が悪いんだよ」
そしてAさんが思ったことは
「聞き方が悪いって言うけど、原因を根掘り葉掘り聞くのって失礼だし、聞けるわけない」
Aさ んは教えてもらえなかったのですが、営業担当役員の桜井さんが反対している原因は、
・以前、営業部でWEB会議を導入したときに営業社員がお客さんを訪問しなくなった。
・今期の営業戦略として1社あたりの売上を上げるために大手企業の取引を増やしていきたい。
・大手企業の取引を増やすためには、頻繁に訪問して関係を強化することが大切だと思っている。
Aさんは一生懸命に原因を聞こうとしたのに・・・
なぜ、教えてもらえなかったのでしょうか?
なぜ、不機嫌にさせて怒られてしまったのでしょうか?
みなさんもAさんとBさんの会話から、Aさんのどこが良くなくて、どのように改善すれば良かったのかを考えてみてください。
同じ頃にセントテクノロジーの競合会社ポータルソリューションの営業担当Cさんもヒューマンリーディングに提案していました。
そして、Cさんも営業担当役員が反対している原因を聞こうと訪問。
ポータルソリューション営業担当Cさん
「先日、営業担当役員の桜井さんが反対しているっておっしゃってましたけど、なぜ反対されているんですか?」
ヒューマンリーディングBさん
「桜井は「営業は直接会って話をすることが大切、WEB会議システムは必要ない」って言っているんです」
Cさん
「たしかに営業は直接会って話をすることって大切ですよね」
「今はオンラインで営業する会社が増えているみたいですけど、私も営業が直接会って話をするって大切だと思います」
「でも営業現場は必要って言っているんですよね、なぜ必要ないっておっしゃってるんですか?」
Bさん
「以前、営業部でWEB会議システムを導入したことがあるんですけど、そのときに営業社員がオンラインばかりでお客さんを訪問しなくなってしまったんです」
「だから桜井としては、営業が楽したいからだって思っているんですよ」
Cさん
「そうなんですか、楽をしたいからって思っているんですね」
「たしかに役員の桜井さんからすると営業が外出しないで社内にいるってあまり良い印象じゃないのかもしれない」
「でも、実際に外出が多くて困っているんですよね、それなのになぜ楽したいからだって思っているんですか?」
Bさん
「外出が多くて困っているのはわかっているみたいですけど、それよりも訪問を増やすことを重視しているんです」
「今期は大手企業の取引を増やそうという戦略を進めているので」
Cさん
「そうなんですか、大手企業への訪問を重視しているんですね」
「大手企業には他の人材派遣会社も頻繁に訪問しているでしょうから、御社としても訪問を増やして関係を強化しないといけないですよね」
「でも、なぜ大手企業の取引を増やそうとしているんですか?」
Bさん
「中小企業の場合、1社あたりの派遣スタッフが少なくて売上が小さいんですが、営業の負担ってそんなに変わらないんですよ」
「少ない営業社員で効率的に売上を上げるためには、大手企業の取引を増やしていかないといけないんです」
Cさん
「そうなんですか、営業効率を上げるためには大手企業の取引を増やさないといけないんですね」
「たしかに、大手企業への訪問を増やさないといけないときに、訪問が減る可能性のあるWEB会議システムに反対するのもわかります」
Bさん
「そうなんですよ、だから桜井が反対しているんです」
Cさん
「そうしたら、大手企業の取引を増やすための提案を考えてきましょうか?」
「WEB会議システムを使ってマネジメントを強化しながらお客さんへの訪問を増やす方法とか、お客さんへの訪問とWEB会議システムでの面談の使い分け方法などの提案を」
Bさん
「なるほど、そういう提案でしたら営業担当役員の桜井を説得できるかもしれません」
「ぜひ、お願いします」
Cさんは、営業担当役員が反対している原因を教えてもらうことができました。
そして、営業担当役員を説得するための提案を考えてWEB会議システムを受注することができました。
セントテクノロジーの営業担当Aさんとポータルソリューションの営業担当Cさんの違いは?
AさんもCさんも同じく営業担当役員が反対している原因を聞こうと「なぜなぜ」を繰り返しました。
しかし、Aさんは教えてもらえず、Cさんは教えてもらうことができました。
「なぜなぜ」は、繰り返していると、相手に追求している、突っ込んでいる、否定している印象を与えてしまいます。
「なぜ反対されているんですか?」
「なぜ必要ないっておっしゃっているんですか?」
「なぜ楽したいからだって思ってるんですか?」
「なぜ関係が弱くなることを心配されているんですか?」
その結果、ヒューマンリーディングのBさんは、
「なぜなぜって聞きますけど、私にもわからないですよ」・・・追及されている、突っ込まれている印象を受けてしまいました。
「桜井を否定しているようですけど」・・・否定されている印象を受けてしまいました。
そして、Aさんは、Bさんを不機嫌にさせ、怒られてしまいました。
しかし、Cさんは、追求している、突っ込んでいる、否定している印象を与えずに「なぜなぜ」を繰り返しています。
その理由は、追求している、突っ込んでいる、否定している印象を打ち消していること。
Cさんの「なぜなぜ」のパターンは、すべて・・・
オウム返し→共感→なぜ?
「「営業は直接会って話をすることが大切、WEB会議システムは必要ない」って言っている」
というBさんに対して・・・
まず、オウム返し「たしかに営業は直接会って話をすることって大切ですよね」
オウム返しで、相手の話をちゃんと聞いている、受け止めているという印象を与え、一方的に聞きたいことを追求している、突っ込んでいる印象を打ち消しています。
そして、共感「今はオンラインで営業する会社が増えているみたいですけど、私も営業が直接会って話をするって大切だと思います」
共感することで、同意しているという印象を与え、否定している印象を打ち消しています。
その後に、なぜ?「でも営業現場は必要って言っているんですよね、なぜ必要ないっておっしゃってるんですか?」
オウム返しと共感によって、追求している、突っ込んでいる、否定している印象を打ち消した後で、「なぜ?」によって原因を聞いているのです。
「オウム返し→共感→なぜ?」によって、Bさんは、追求されている、突っ込まれている、否定されている印象を受けずに、「なぜなぜ」を自然に受け入れることができました。
その結果、Cさんは原因を聞き出すことができたのです。
営業ではお客さんが話してくれたことを聞くだけではなく、その原因や背景を聞き出すことが大切です。
しかし、「なぜなぜ」は相手に追求している、突っ込んでいる、否定している印象を与えてしまいます。
「オウム返し→共感→なぜ?」
お客さんとの会話で原因や背景を聞き出すための「なぜなぜ」では、追求している、突っ込んでいる、否定している印象を打ち消しましょう。
「なぜなぜ」でお客さんが話してくれたことの原因や背景を知ることで、対策を考えることができ、失注していたかもしれない案件も受注できるのです。
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