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AIの導入で考えること

営業の目的は売上向上、AIはツール…目的なきツールは浸透しない

2026年7月15日

最近、急速にAIの業務活用が広がってきています。

議事録や提案書の作成、メール文章、情報収集、社内マニュアルの活用促進・・・。

 

業務の効率化や情報・ノウハウ不足の解消のために会社としてAIを推奨し、営業部でもAIの活用を検討している会社が多く見受けられます。

 

みなさんの会社ではいかがでしょうか?

 

 

コールセンター会社のセントCRMでも全社でAIの活用を進めていました。

そして、営業部では部長が営業1課と2課のマネージャーにAIの活用方法を考えるように指示していました。

 

営業部長の指示は、

・全社でAIの活用を推進している。

・営業部も少ない人数で新規のお客さんを獲得していくためにはAIが必要。

・すでに議事録にはAIを使っているようだけど、他にもAIの活用方法を考えて進めなさい。

 

 

そこで、営業1課ではマネージャーAさんがミーティングを開きました。

 

マネージャーAさん

「部長の指示なんだけど、AIの活用方法を考えないといけない」

「うちの課ではAIを使って何ができる?」

 

営業担当Bさん

「すでに議事録には使っていますよ」

「あと、お客さんの情報を調べるときにもAIを使っていますよ」

 

マネージャーAさん

「それは知ってるけど、みんな新規のお客さんに提案できてないでしょ?」

「他にどんなことに使えるかを考えないと」

 

営業担当Bさん

「そうですね」

 

マネージャーAさん

「AIの活用方法を考えるために、まずは問題を洗い出そう」

「なんで提案できていないの?」

 

営業担当Cさん

「忙しくて時間がないんです」

「既存案件では、コールセンター運営部門のオペレーション部と打ち合わせが多いし、お客さんとオペレーション部の定例会も毎週参加しないといけないんですよ」

 

マネージャーAさん

「たしかに、うちの営業は既存案件の負担が大きいからな」

 

営業担当Bさん

「それに、提案書を作成するノウハウもないんですよ」

「今まで提案書はオペレーション部が作っていたから・・・」

 

マネージャーAさん

「忙しくて時間がない、提案書を作成するノウハウがないか・・」

「AIでできない?」

 

営業担当Cさん

「そうですね、提案書はAIで作ったらいいと思います」

「ノウハウがなくてもAIで作れるし、オペレーション部はAIを使って短時間で作っているみたいですよ」

 

マネージャーAさん

「うちのコールセンターサービスの紹介資料じゃなくて、お客さんの課題に対してコールセンターの必要性をまとめた提案書だよ、作れるの?」

 

営業担当Cさん

「お客さんに課題をヒアリングしてきて、AIに聞けば提案を考えてくれるし、提案書も作成してくれますよ」

 

マネージャーAさん

「そうなんだ・・・、そうしたらAIで提案書を作成しよう」

「Cさん、オペレーション部にAIで提案書を作成する方法を聞いてきて、みんなに教えて進めてくれる?」

 

営業担当Cさん

「わかりました」

 

 

そして、半年後の営業1課のミーティング。

 

マネージャーAさん

「みんな提案してないじゃないか」

「AIを使えば短時間で提案書を作成できるのに、なんで提案しないの?」

 

営業担当Bさん

「一度、提案したんですけど、お客さんに必要ないって言われて」

 

営業担当Cさん

「お客さんから課題を聞けなくて・・・」

 

 

営業1課では提案が進みませんでした。

そして、半年後も議事録とお客さんの情報を調べるときしかAIを使っていませんでした。

 

AIを使えば短時間で提案書を作成できるし、ノウハウがなくても作れるはずなのに・・・。

 

 

営業2課のマネージャーDさんもAIを使って提案を進めるよう指導していました。

 

マネージャーDさん

「営業2課では今期の売上が厳しい」

「みんな、どうしたら今期の売上を上げられると思う?」

 

営業担当Eさん

「どこの会社も問い合わせセンターは自動化を進めていて縮小しているから厳しいんですよ」

「問い合わせセンター以外のインサイドセールスとか他の仕事を増やさないと」

 

営業担当Fさん

「でも、どうやってインサイドセールスを獲得するんですか?」

「うちの会社はインサイドセールスの実績が少ないし・・・」

 

マネージャーDさん

「インサイドセールスを獲得するためには積極的に提案しないといけない」

「うちはお客さんに問い合わせセンターの会社と思われているから、待っていても獲得できないよ」

 

営業担当Fさん

「積極的に提案って、どんな提案をすればいいんですか?」

 

マネージャーDさん

「お客さんの課題に対して提案するんだよ」

「お客さんの販売課題に対してインサイドセールスで実現できる解決策の提案」

 

営業担当Eさん

「でも、お客さんの販売課題って知らないですよ」

 

営業担当Fさん

「お客さんに聞くしかないんじゃないですか?」

 

営業担当Eさん

「聞くってどうやって?」

「販売課題を教えてくださいって聞いても教えてもらえる気がしないんですけど・・・」

 

マネージャーDさん

「お客さんの課題は仮説を提案して聞き出すんだよ」

「お客さんの戦略を調べて、仮でいいから販売課題を考えて提案すると、お客さんが本当の課題を言ってくれるから」

 

営業担当Eさん

「仮の課題を提案すれば本当の課題を教えてもらえるんですか?」

「この間、保険会社のリーディング生命に「クロスセルは難しいと思うんですけど、いかがですか?」って聞いたら、「うまくやってますよ」って言われて教えてもらえなかったんですけど」

 

マネージャーDさん

「そんな漠然と聞いてもダメだよ」

「クロスセルが難しい理由とか、聞き出すためには具体的なネタを伝えないと」

 

営業担当Eさん

「具体的なネタって?」

 

マネージャーDさん

「例えば、若い人は生命保険に対する意識が低いとか、生命保険のクロスセルでは結婚とか出産のタイミングをおさえることが必要とか・・・」

 

営業担当Eさん

「そっか、漠然と聞いてもダメか・・・」

 

マネージャーDさん

「そう、だから提案前には聞き出すためのネタを準備しないと」

「あと、ネタを使って聞き出すためにヒアリングの練習も必要じゃないか?」

 

営業担当Eさん

「そうですね、ただ提案書を説明するだけならいいけど、ネタを使って聞き出すって会話力が必要な気が・・・」

 

マネージャーDさん

「そうしたら、提案前にロールプレイングをしようか?」

 

営業担当Eさん

「お願いします」

 

マネージャーDさん

「インサイドセールスを獲得するために、提案書を作成して、聞き出すためのネタを準備、そして提案前にロールプレイングをやろう」

 

営業担当Fさん

「でも、ちゃんとやれます?」

「ただでさえ忙しいのに時間を作れないんじゃないですか?」

 

営業担当Eさん

「それに、提案書を作成するノウハウもないんですよ」

「今まで提案書はオペレーション部が作っていたから・・・」

 

マネージャーDさん

「忙しくて時間がない、提案書を作成するノウハウがないか・・」

「AIでできない?」

 

営業担当Fさん

「できると思いますよ」

「AIだったらお客さんや業界の公開情報から戦略を調べてくれるし、課題やインサイドセールスの提案も考えてくれますよ」

 

営業担当Eさん

「提案書も作ってくれるからそこまで時間がかからないかも」

 

マネージャーDさん

「そうしたら、提案書はAIで作って、提案書ができたらネタの準備とロールプレイングをしよう」

「Fさん、オペレーション部にAIで提案書を作成する方法を聞いてきて、みんなに教えて進めてくれる?」

 

営業担当Fさん

「わかりました」

 

 

半年後、営業2課では提案が進みインサイドセールスを獲得できました。

そして、AIを使った提案書の作成も継続し、浸透していました。

 

営業1課ではAIの活用が進まなかったのに、なぜでしょう?

営業1課と2課のミーティングを比べて考えみてください。

 

 

営業1課では・・・

 

営業部長の指示に従いAIの活用方法を考えました。

「うちの課ではAIを使って何ができる?」

 

はじめに、AIの活用方法を考えるために問題を洗い出しました。

「新規のお客さんに提案できてない」

「忙しくて時間がない、提案書を作成するノウハウがない」

 

そして、洗い出した問題に対してAIの活用方法を考えました。

「提案書はAIで作ったらいい」

「お客さんに課題をヒアリングしてきて、AIに聞けば提案を考えてくれる」

「提案書も作成してくれます」

 

 

営業2課では・・・

 

AIの活用方法を考える前に、売上を上げるための戦略を考えました。

「問い合わせセンター以外のインサイドセールスとか他の仕事を増やさないと」

「インサイドセールスを獲得するためには積極的に提案しないといけない」

 

そして、営業方法や必要なこと(戦術)を考えました。

「お客さんの販売課題に対してインサイドセールスで実現できる解決策の提案」

「お客さんの課題は仮説を提案して聞き出す」

「提案書を作成して、聞き出すためのネタを準備、そして提案前にロールプレイング」

 

最後に、営業方法や必要なことに対し問題とAIの活用方法を考えました。

「忙しくて時間がない、提案書を作成するノウハウがないか・・」

「AIでできない?」

 

 

営業1課では、AIの活用を目的として考えていました。

その結果、AIを活用して提案書を作成することしか考えず、提案方法や営業成果について考えていませんでした。

 

たしかに、提案書を作成する時間を削減できたかもしれません。

また、ノウハウがなくても提案書を作れたかもしれません。

 

しかし、AIで提案書を作成してもうまくいかない・・・。

「お客さんに必要ないって言われて」「お客さんから課題を聞けなくて」

 

当然、AIを活用した提案書の作成は、続かないし、浸透しません。

 

 

営業2課の目的は、AIの活用ではなく売上(営業成果)でした。

そのため、AIの活用方法ではなく、売上を上げるための営業方法(戦略や戦術)を考えました。

その後で、営業方法の問題とAIの活用方法・・・。

 

その結果、営業成果を上げることができ、営業成果を上げることができた戦略と戦術を進めることができました。

そして、その戦術に必要なAIの活用も継続でき、浸透することができたのです。

 

 

営業1課は、AIの活用を目的として、AIの活用方法を考えていました。

営業2課は、営業成果を目的として、戦略と戦術を考え、戦術に対する1つのツールとしてAIを考えていました。

 

営業活動の目的は営業成果です。

 

営業成果を目的とすると、業務の効率化や情報・ノウハウ不足の解消は、限られた営業体制で営業成果を上げるための手段です。

そして、手段である業務の効率化や情報・ノウハウ不足の解消に対し、AIはツールです。

 

営業でAIを有効活用するためには、目的、戦略、戦術、手段、AIの順番で考えましょう。

 

1.どのような売上(営業成果)を上げるのか?・・・目的

2.どうやって売上を上げるのか?・・・戦略

3.そのためにどのような営業方法を進めるべきか?・・・戦術

4.戦術に対し何が必要なのか?・・・手段

5.手段を実現するために必要なことは?・・・ツール

 

 

近年、IT技術の進歩によって営業を取り巻く環境は大きく変わりました。

多くの会社で新しいツールを次々と導入し、様々な取り組みを進めてきました。

 

・iPadやモバイル端末による業務の効率化

・営業管理システムや名刺管理システムによる情報共有の促進

・クラウドサービスによる業務の効率化と情報共有の促進

・ ・・・・・

 

しかし、次々とツールを導入し、様々な取り組みを進めても、営業強化が進まない、売上が上がらない。

そして、3年、5年と成果が出ずに、試行錯誤し、そしてやめてしまう会社も多い。

 

この大きな原因の1つが、手段やツールを目的として考えていることです。

 

・業務の効率化を目的として、iPadやモバイル端末を導入

・情報共有を目的として、営業管理システムや名刺管理システムを導入

・業務の効率化と情報共有を目的として、クラウドサービスを導入

 

そして、今、業務の効率化や情報・ノウハウ不足の解消を目的としてAIを導入。

 

たしかに、AIの導入により、

情報収集や資料作成の時間を削減でき、働く時間は短くなるかもしれません。

また、提案書の精度も高くなるかもしれません。

 

しかし、いくら働く時間が短くなっても、いくら提案書の精度が高くなっても、売上が上がらなければ、その手段は売上を目的とした営業にとって無意味なものになります。

 

仕事が楽になって早く帰れる、けれど売上は上がらない・・・

この手段やツールが続くことも、浸透することもありません。

 

 

営業部門でAIを有効活用するためには、手段とツールを考える前に目的や戦略、戦術を考え明確にしましょう。

手段である業務の効率化や情報・ノウハウ不足の解消、ツールであるAIを考える前に、どうやって売上を上げるのか、そのためにどのような営業方法を進めるのかを考え明確にしましょう。

 

目的と戦略や戦術なき手段やツールは、継続することもできず、浸透することもありません。

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