営業強化の問題点②
目に見える問題でなく営業強化の7つの要件から原因を探し改善する
2020年5月15日
会社を大きくする、事業を伸ばす、売上を拡大する・・・いずれも顧客に提案し事業や商品を売るための営業力は必要です。
「営業力は大切」「いくらすばらしい商品でも営業が提案できなければ売れない」と多くの経営者も言っています。
そして、多くの会社で営業を強化しようと様々な取り組みを進めています。
しかし、うまくいかない・・・
ある会社の営業責任者Aさんが営業強化に取り組んでいました。
Aさん、
「うちの営業はノウハウや情報を共有できていない」
「個人が様々なノウハウや情報を持っているのに、共有できていないから他の人が使えない」
Aさんは、営業強化にノウハウや情報の共有が必要と考え、
「ひとりひとりが持っているノウハウや情報 を出させて、共有し、他の人が活用できる環境を整備しよう」
提案書は、
共有して他の人が活用できるように、業界別・商品別にフォルダを作り、提案後に結果を記入して保存させ、他の人が探し活用しやすいようにした。
顧客のニーズや案件情報は、
営業管理システムに項目を作り、結果以外にも収集した情報を項目別に登録させ、業界や商品別に検索できるようにした。
誰が何を悩んでいるか把握できるように、
営業プロセスを整理し誰が見ても進捗がわかるようにし、また、顧客ごとに重要度をチェックするフラグを付けて、重要な顧客の進捗を共有できるようにした。
そして、1年後・・・
提案書は、
フォルダに保存されているけれど、誰も他の人の提案書を見ていない、使っていない。
営業管理システムの「ニーズ」の項目は、
「失注、昨年他社製品を導入したためニーズなし」と結果とその理由ばかりで、どのようなニーズがあったのかという参考になる情報が入っていない。
営業プロセスに対する進捗も、
営業会議前にあわてて登録し、会議でマネージャーがチェックしているぐらいで今までと変わっていない。
いろいろ考えて取り組みましたが、ノウハウや情報の共有は進みませんでした。
ここでみなさんに問題です。
「何がいけなかったのでしょうか?」
ノウハウや情報の共有が進まなかった原因を考えられるだけあげてみてください。
・営業管理システムの使い勝手が悪い
・仕事が忙しくて登録したり、検索したり、探す時間がない
・営業社員の体質や意識が低い
と営業責任者Aさんは判断し、
・営業管理システムの使い勝手を改善しよう
・社外でも仕事ができるようにモバイルを導入しよう
しかし、変わらない、ノウハウや情報の共有が進まない。
そして「うちの社員は意識が低いから無理」とあきらめてしまいました。
「営業管理システムの使い勝手」「仕事の忙しさ」「営業社員の体質や意識」
いずれも不正解です。
「営業社員の体質や意識が低い」と言いますが、どのような意識?
・・・情報共有の意識。
では、なぜ情報共有の意識が低い?
・・・情報共有の重要性がわかっていない。
では、なぜ情報共有が重要?
・・・個人の力に依存するのでなく組織で営業活動を進めないといけないから。
では、なぜ組織で営業活動を進めないといけない?
今まで個人の力に依存してやってきたのになぜ?
・・・営業が難しくなってきているから。
なぜ、営業が難しくなっている?
・・・顧客のニ ーズが多様化し異なるので、顧客ごとに提案を考えないといけないから。
(戦略や営業方法のこと)
「情報を登録しない」と言いますが、登録しない本当の理由は?
・・・課題やニーズを聞いていない。
なぜ、聞いていない?
・・・聞いてくるように指導しているけれど意識が低い。
営業社員に聞いてみると「顧客に教えてもらえない」「聞くタイミングがなかった」
・・・意識の問題よりヒアリング力や商談の組み立て方の問題。
(営業スキルや シナリオのこと)
ノウハウや情報を共有できていない本当の原因は、戦略や営業方法の理解、営業社員のスキルやシナリオでした。
しかし、進めた取り組みは「情報管理・共有の仕組み」と「情報を共有しろという指導」。
情報共有を進めるためには、
情報共有が必要な理由である戦略や営業方法を理解させないといけなかた。
そして、情報収集するためのシナリオを教えスキルを身につけさせないといけなかった。
ほとんどの会社では、営業強化に対して目に見える問題を直接的に解決しようとしています。
「コミュニケーション力が低い」と思うと、
・コミュニケーション力の高い先輩と同行させ、話し方を見せ指導する
・ロールプレイングで訓練する
しかし、コミュニケーション力は、
・知識や情報も必要
・ノウハウやテクニックも必要
・戦略や商品によっても変わり影響される
・パンフレットなど営業ツールによっても変わり影響される
・求められる成果やモチベーションによっても影響される
話し方を見せ指導しただけでは改善しません。
知識や情報、ノウハウやテクニック、戦略や商品・・・これらを総合的にチェックし解決してコミュニケーション力は身につくのです。
営業のひとつひとつの問題は、様々な要因が絡み生じるもので、そのすべての中から原因を探し解決しなくてはなりません。
アプローチや提案、顧客との関係力、トラブル対応、マネジメントや指導、情報管理、・・・営業のすべての問題は、営業戦略や戦術、販売促進方法、営業社員のスキル、体制やマネジメント、情報活用や環境、営業ツールという営業強化の7つの要件の様々なところに原因があり、それらを探し解決しなければなりません。
(営業強化の7つの要件)
①.営業戦略の中に問題はないか、全員が理解しているか
②.営業戦術の中に問題はないか、全員が理解しているか
③.販売促進方法は適切か、営業戦術とずれていないか
④.営業戦術に対し足りないスキルはないか、スキルを身につける方法に問題はないか
⑤.戦略や戦術、必要なスキルに対し体制やマネジメントに問題はないか
⑥.情報活用や環境に対し、必要な情報や活用方法は明確か、管理方法や環境に問題はないか
⑦.戦術やスキル、必要な情報を考えてパンフレットや資料など営業ツールに問題はないか
(参考)資料ダウンロード「営業強化検討シート」
営業会議を見ていると
顧客のニーズを聞けないという営業社員に、ヒアリング方法や情報を聞いてくるようにという直接的な指導ばかりが目につきます。
営業ツールであるパンフレットについて議論している営業会議は見当たりません。
その結果、顧客のニーズを聞けないという課題が解決せず、毎週・毎月同じ課題を話し合っている・・・
パンフレットの構成や内容を変えると、収集できる顧客のニーズや情報も変わってくるものです。
・目に見える一部しか改善せず、他に必要なこと、有効なことに気づかず改善していない
・目に見える表面的な問題しか見ず、本当の原因を見ないため改善していない
営業強化はこの2つが原因で進まないことが多い・・・
会社の中の様々な活動の中で営業の強化は最も難しい類のものです。「情報を共有した=他の人の情報を活用する」という単純なものではありません。
個々の問題は様々な要因が複雑に絡み合っているため、原因を見つけるのも難しいし、解決策を考えるのも難しいのです。
営業強化を考えるときは、
目に見える問題だけなく、営業強化の7つの要件すべてを考えましょう。
営業の問題を見つけたら、
目に見える直接的 な問題を解決するのでなく、営業強化の7つの要件から原因を探しましょう。
「営業社員の人数が足りない」という問題を直接的に考えて「採用する」。
しかし、採用しても戦力にならない、辞めてしまうという会社が多く見受けられます。

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