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トラブルの対応方法①

感情の共有が対立関係を解消し受け入れてもらえる状況を作る

2017年12月15日

営業という仕事にトラブルは付き物。

トラブル対応、顧客からのクレーム・・・営業の仕事の中でも苦労の多い難しい仕事です。



みなさんは、顧客からクレームが入った時にどのように対応していますか?



営業担当Aさんに顧客からクレームが入った時のことです。

顧客と約束していたホームページの納期が遅れてしまいました。


顧客Cさんから・・・

「先月末に納品するって言ってたのにいつになるんですか?」

「今月から公開して新商品を告知する予定だったのに困るんですよ」


Aさん

「すみません、制作担当が急に休んでしまいまして」

「本当に申し訳ありません」


顧客Cさん

「申し訳ありませんではなくて、いつになるか聞いているんです」


Aさん

「申し訳ありません」

「制作部に確認したら1週間ぐらいと言っていたので・・・」

「すみません」


顧客Cさん

「本当に1週間で納品できるんですか?」

「新商品を告知できなくて困っているんです」


Aさん

「本当にすみません」


顧客Cさん

「納期が過ぎてから連絡してきたけど、納期前に遅れることはわかっていたでしょう」

「なんで、連絡してこなかったんですか?」


Aさん

「申し訳ありません」


顧客Cさん

「申し訳ありませんじゃなくて、なんで連絡してこなかったか聞いているんです」


Aさん

「すみません」



営業現場ではこのような対応が非常に多い・・・



相手の質問にきちんと答えていないというコミュニケーション上の問題もありますが、その他にAさんの対応にはいくつ問題があるでしょうか?



同じように営業担当Bさんにも納期遅延のトラブルが発生してしまいました。


Bさん

納期遅延が発覚してすぐに

「今確認してわかったのですが、制作担当が休んでしまい今月末の納期に遅れてしまいそうなんです」

「今、制作部と調整しているところですが、本当に申し訳ありません」

「なるべく早く納品できるよう調整していますので、大変申し訳ないのですが、いつ納品できるかは明後日までお待ちいただけないでしょうか?」


顧客Cさん

「今月末の納期に間に合わないんですか?」

「来月から公開して新商品を告知する予定だったのに困るんですよ」

「なんとかしてください」(1)


Bさん

「今回の新商品には今期の売上がかかっていると聞いていたので、早く納品できるよう調整しているのですが、本当に申し訳ありません」


顧客Cさん

「そうですよ。本当に困るんですよ。今回の新商品は社長肝いりの企画で毎月の経営会議で進捗を確認しているぐらいのものなんです」


Bさん

「商品企画の方、イベント企画の方、営業の方まで全社挙げて取り組んでいて、納期が遅れると他の部の計画までずれてしまうのは聞いていたので、絶対に間に合わせないといけないと思っていたんですけれど・・・」


顧客Cさん

「そうですよ。商品企画や営業とも連携して進めているのに・・・」

「なんとかならないですか?」(2)


Bさん

「分担するとミスが起こりやすくなるので一人で担当させていたものですから。今、他の者に対応させようと調整していますので」

「社長肝いりの企画だと聞いていたので、私もCさんと一緒にホームページを作り上げて貴社の新商品発売に貢献しようと頑張ってきたんですが・・・」


顧客Cさん

「私もBさんが一生懸命やってくれているのはわかっているんですけど・・・」

「しょうかないな・・・」(3)

「明後日にはいつ納品できるかわかるんですね?わかったらすぐに連絡してください」


Bさん

「本当に申し訳ありません」

「明後日には必ず連絡させていただきます」



Bさんの対応に顧客Cさんは、

(1)「なんとかしてください」

(2)「なんとかならないんですか?」

(3)「しょうかないな・・・」

と徐々に軟化していっています。


なぜでしょう?



トラブル対応には4つのPOINTがあります。


・「すぐに連絡」

・「原因と対策をきちんと伝える」

・「謝りすぎない」

・「感情を共有する」



トラブルが発生すると起こした側と起こされた側で対立関係(起こされた側の起こした側に対する否定的な感情)が生まれます。


この対立関係や否定的な感情を解消または小さくしないと、自分の言い分や要望を受け入れてもらいにくくなります。


一般的に、謝罪や、納期に遅れた、いつ納品できるかというトラブルそのものについての話に終始してしまい、トラブルに対する相手の感情を理解しよう共有しようとしていないケースが多く見受けられます。

そのため、相手との対立関係や否定的な感情を解消または小さくできず、自分の言い分や要望を受け入れもらえないまま苦労している・・・



感情の共有とは・・・


商品やサービス、仕事でトラブルが発生

①.トラブルに対する事実と原因や対策

・・・ホームページの納期が遅れる、遅れた原因、納期遅延の対策や遅延したときの納期

②.トラブルによる相手の苦労や困ること

・・・ホームページの納期遅延よる相手の苦労や困ること

③.トラブルが発生した商品やサービス、仕事に対する思い

・・・ホームページに対する相手の思い


この②と③に対する相手の感情を共有することで対立関係や否定的な感情を解消または小さくし、①を受け入れてもらいやすい状況を作ること。



Bさんの場合Aさんと比較すると・・・


原因や対策がわかっていなくてもトラブルが発覚してすぐに連絡しています。

そして、原因と対策を伝えていないのですが、原因と対策を伝える日を明確に伝えています。


また、謝り過ぎると必要以上に相手との上下関係を作ってしまいます。Bさんは最初と最後にしっかり謝罪し、Aさんと比較し謝り過ぎていません。そのため、謝罪の意思を理解してもらいながら、極端な上下関係を作らず自分の言い分や要望を受け入れてもらえる状況を作っています。


そして、Bさんはトラブルに対する相手の感情を共有しています。

納期遅延に対する相手の苦労や困ること、ホームページ制作についての思いについて、自ら話し、相手の感情を共有し対立関係(否定的な感情)を小さくしています。


「納期が遅れる」⇔「遅れたら困る」という対立関係(相手の否定的な感情)から

→「全社挙げて取り組んでいる」「他の部の計画までずれる」と自ら話すことでトラブルによる苦労や困ることを理解している人

→「Cさんと一緒に貴社の新商品発売に貢献しようと頑張ってきた」と話すことで、ホームページに対する期待などの思いを共有し一緒に頑張っている仲間

へと顧客Cさんの意識を変えていっているのです。



つまり、トラブルによる対立関係から、苦労や困ることを理解している人、一緒に頑張っている仲間へと変えていっています。

その結果、Bさんの「制作部と調整している」「いつになるかは明後日まで待ってくれ」という言い分や要望も受け入れてもらいやすくなっているのです。



トラブルが発生するとほとんどの人が、謝罪と「納期が遅れる」「納期が遅れた理由」「納期がいつになるか」などトラブルそのものの話ばかりになってしまっています。


しかし、「納期が遅れる(事実)」「納期が遅れた理由(原因)」「納期がいつになるか(対策)」はすべて自分のことです。

つまり、トラブルに対して自分のことを一生懸命説明して、許してください、理解してくださいと言っているのです。


では、トラブルに対する相手のこととは?

トラブルによる苦労や困ることです。そしてトラブルが発生した商品やサービス、仕事に対する期待などの思いです。



トラブルが発生したら、事実や原因、対策といった自分のことばかりでなく、相手の苦労や困ること、相手の思いを考えましょう。そして相手から言われるだけでなく自ら伝えましょう。

そして、相手の苦労や困ること、相手の思いを共有して対立関係や否定的な感情を解消しましょう。つまり、トラブルによる苦労や困ること、商品やサービス、仕事に対する期待を理解している人と思ってもらいましょう。


すると、自分の言い分や要望を受け入れてもらいやすくなります。


トラブルが起こったら自分のことを許してもらう、理解してもらうばかりでなく、対立関係を解消するために相手のことを考え、相手の感情を共有しましょう。

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