営業戦略の3つの要件
ターゲット、競合対策、アプローチ…3つの方向性を明確にする
2025年4月15日
新しい期に入り売上向上のため、多くの会社で新たな営業戦略を策定していることでしょう。
新規マーケットや新商品の拡大、新規取引先の獲得、提案活動の推進、・・・
しかし、3か月、半年経ってみると進んでいない。
・営業戦略が漠然としていて、何をすればよいかわからない。
・営業担当者がアポイントを取れない、提案できない、今までの営業を変えられない。
・日々の仕事に振り回されて忙しい、技術部や企画部など他の部門が協力してくれない。
・そもそも、営業戦略が非現実的。
みなさんの会社ではいかがでしょうか?
4月のある日、システム開発会社のセントテクノロジーでは営業部長Aさんが営業戦略を策定し、営業部のミーティングで説明していました。
「今期はクラウド営業支援システムで取引先を拡大していきます」
(セントテクノロジーのクラウド営業支援システム)
商談情報を共有できる営業管理システムの機能がついたWEB会議システム。
説明した内容は・・・
(背景と目的)
・DXを進めている企業が多いためクラウド営業支援システムの需要は拡大。
・昨年、大口のお客さんの取引がなくなり売上が減少。
・今後のことを考えると新規取引先の獲得は必須。
(戦略)
・クラウド営業支援システムを切り口に新規開拓営業を進める。
・ターゲットは年商50億円以上の中堅規模以上の企業。
・商談情報の共有とオンライン商談を同じシステムで対応できるという強みをアピールして案件を獲得。
(具体的な活動)
・5月と6月に展示会に出展。
・展示会の来場者にテレアポで訪問を獲得し営業活動を進める。
・案件を獲得したら商品企画部に同行してもらい技術的な提案を進める。
(促進するために)
・既存取引先の営業活動と目標や計画を分けて管理し新規開拓営業を徹底。
・5月の展示会後すぐに来場者リストを営業担当者に配布し、新規開拓営業をスタート。
(売上目標)
・新規取引先の売上目標は1億円。
・計画は、売上目標を達成するために1年間で40件のお客さんを訪問。
そして、5月の展示会後に営業活動をスタートしました。
上期が終了し10月初旬
獲得した案件が2件で売上見込みは1千万円程度。
このままだと1億円の目標を達成しないどころか2千万円も届かない。
営業部長AさんとマネージャーBさんは下期の対 策について話し合っていました。
営業部長Aさん
「5月の展示会から4か月もあったのに、なんで2件しか案件がないんだ?」
「来場者にアポイントが取れてないのか?」
マネージャーBさん
「いや、情報システム部の担当者に20件は訪問したんですけど、お客さんが検討していなくて」
Aさん
「そんなことないだろう、オンライン商談が増えているんだからニーズはあるはずだろう」
「訪問したお客さんは何て言っているの?」
Bさん
「商談情報の共有とオンライン商談を同じシステムで対応できるという強みは評価してくれるんですが・・・」
・複数の営業部はそれぞれ管理方法が違うからエクセルで対応しているので問題ない。
・商談情報の共有は名刺管理システムの議事録機能を使っているので問題ない。
・すでに営業管理システムとWEB会議システムを導入し使っているので問題ない。
Aさん
「強みを説明しているだけで、メリットを提案できていないんだろう」
「商品企画部に導入事例資料があるから、もらってきてメリットを提案するように」
Bさん
「わかりました 」
そして、下期の営業活動をスタートしました。
半年が経ち期末
セントテクノロジーの新規開拓営業は、受注件数が3件で売上は1千5百万円。
・・・1億円の売上目標に対し大きく未達成。
新規取引先の獲得が進みませんでした。
原因は多々ありますが、営業戦略にも原因があります。
何が良くなかったのでしょうか?
営業部長Aさんが4月に説明した営業戦略から考えてみてください。
営業部長Aさんの営業戦略①
「商談情報の共有とオンライン商談を同じシステムで対応できるという強みをアピールして案件を獲得」
しかし、訪問してお客さんに言われていることは、
・複数の営業部はそれぞれ管理方法が違うからエクセルで対応している。
・商談情報の共有は名刺管理システムの議事録機能を使っている。
・すでに営業管理システムとWEB会議システムを導入し使っている。
エクセルやシステムを使っているから問題ないと営業現場の課題を理解していないお客さんが多いようです。
そのお客さんに強みをアピールしても購入を検討してもらえないでしょう。
「商談情報の共有とオンライン商談を同じシステムで対応できる」と説明しても必要性を感じていないのですから。
強みよりも「営業の管理方法や営業活動の効率化の課題」といった営業現場の課題を理解させることが必要だったのです。
・複数の営業部がそれぞれ管理方法が違うことによる弊害
・名刺管理システムの議事録機能だけでは適正な指導ができないこと
・営業管理とWEB会議を別々のシステムで行っていることによる営業スピードや効率の課題
営業部長Aさんの営業戦略②
「ターゲットは年商50億円以上の中堅規模以上の企業」
訪問先は情報システム部の担当者が多かったようですが、上の営業現場の課題を理解させることはできるのでしょうか?
営業部や営業企画部の人に会わないと課題を理解させることはできないでしょう。
ターゲットの規模だけでなく、誰に会うべきかということも必要だったのです。
そして、その人にどうしたら会えるかを考えなくてはいけなかったのです。
展示会の来場者は情報システム部の担当者が多いのであれば、情報システム部の担当 者から営業部や営業企画部の人を紹介してもらう方法。
営業戦略は営業戦術(個々の営業活動の方法)の方向性です。
営業戦略は適正な営業戦術に落とし込むためのものです。
適正な営業戦術に落とし込むための営業戦略には3つ必要なことがあります。
・ターゲットの方向性
・競合対策の方向性
・アプローチの方向性
①.ターゲットの方向性
どのようなお客さんからら売上を上げ るのか?
どのような人に会って受注を獲得するのか?
いきなり業界や規模を考えるのではなく、受注できるお客さんの特性を考えましょう。
例えば「商談情報の共有とオンライン商談を同じシステムで対応できる」という強みが必要になるお客さんの特性。
「営業活動で検討・調整する情報が多い」+「営業活動で他の部門との連携が多い」
そして、どのような人に会うべきかを考えましょう。
エクセルやシステムを使っていて課題を理解していないお客さんが多いのであれば「営業現場の課題を理解させることができる人・・・営業部か営業企画部」。
②.競合対策の方向性
何で競合に勝つのか?
単純に自分の会社の商品と競合他社の商品を比較するのではなく、①のターゲットの方向性のお客さんに対して(お客さんの視点で)何が有効なのかを考えましょう。
「営業活動で検討・調整する情報が多い」+「営業活動で他の部門との連携が多い」というお客さんに対して、「商談情報の共有とオンライン商談を同じシステムで対応できる」という強みで競合に勝つ。
③.アプローチの方向性
何を理解させて受注を獲得するのか?
商品や強みを理解させる商品訴求型アプローチ、お客さんの課題を理解させ る課題訴求型(啓蒙型)アプローチ・・・何を理解させるべきかという方向性を考えましょう。
「何を理解させて受注を獲得するのか?」は自分が理解させたいこと(自分の視点)ではなく、お客さんの状況に対し(お客さんの視点で)何を理解させるべきなのかを考えましょう。
「すでに営業管理システムとWEB会議システムを導入し使っている」というお客さんに、「別々のシステムを使っていることによる営業スピードや効率の課題」を理解させて受注を獲得する。
つまり、
・「営業活動で検討・調整する情報が多い」+「営業活動で他の部門との連携が多い」という企業の
・「営業現場の課題を理解させることができる営業部か営業企画部」に会い
・「別々のシステムを使っていることによる営業スピードや効率の課題」を理解さ せ
・「商談情報の共有とオンライン商談を同じシステムで対応できる」という強みで勝つ
そして、この営業戦略の3つの方向性に対し、どうしたら実現できるのかを考え営業戦術に落とし込んでいくのです。
すると「展示会の来場者を訪問して強みをアピール」ではなく・・・
「営業企画部が興味を持ちそうな営業課題分析シートを作成」
→「展示会の来場者である情報システム部の担当者を訪問」
→「営業課題分析シートを説明し、営業企画部を紹介してもらう」
→「営業企画部に、別々のシステムを使っていることによる営業スピードや効率の課題を理解させる」
明確でない、また3つの方向性が欠けているため、適正な営業戦術に落とし込めない営業戦略が多く見受けられます。
営業戦術に落とし込めず実行できない営業戦略に価値はありません。
みなさんの会社ではいかがでしょうか?
市場の変化が速く技術や商品の高度化が進む中で、新規事業や新規マーケットへの営業、従来の営業からの変革の重要性が高まっています。
新規事業や新規マーケットへの営業、従来の営業からの変革を進めるためには、営業活動の方向性を定める営業戦略は重要です。
ターゲットの方向性、競合対策の方向性、アプローチの方向性・・・営業戦略の3つの要件を明確にしましょう。
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