販売代理店への提案
販売代理店への提案は商品の強みや実績よりも相乗効果を中心に
2026年8月15日
より多くのお客さんに提案し売上を上げるために、販売代理店への営業を進めている・・・
しかし、
一生懸命に訪問しても、なかなか販売代理店になってもらえない。
やっと販売代理店になってもらっても、なかなか提案してくれない、売ってくれない。
自分の会社の営業社員に提案してもらう、売ってもらうのとは異なり、他の会社の人に提案してもらう、売ってもらうという販売代理店営業は難しいものです。
業務用カメラメーカーのセントテクノロジーでは、新商品の高性能カメラをリリースしました。
競合商品と比べて性能も優れているし価格も安いので、多くのお客さんに提案して売上を上げたい。
そこで、販売代理店を開拓することになりました。
ある日、営業担当Aさんはシステム開発会社リーディングシステムのアポイントがとれました。
リーディングシステムは製造業との取引が多いので、高性能カメラを提案してもらえるかもしれない・・・と期待して訪問前に提案書を作成。
********** Aさんが作成した提案書 **********
1.会社の紹介
・会社概要、組織体制、業務用カメラ専業で設立20年
2.会社の実績
・大手企業中心に1,000社に納入、納入企業の一覧
3.カメラの市場背景
・自動化やAIの広がりとともに製造業で高性能カメラの需要が拡大している
4.新商品の技術と性能
・高性能カメラのセンサーや光学レンズの仕組みや技術
・解像度や感度などの性能
5.競合商品との比較
・主要な競合メーカー3社の商品との比較表
・競合商品よりも性能が高くて価格が安い
6.新商品の導入事例
・製造業での不良品の画像検知と建設業界での外壁や橋梁の異常検知の事例
7.販売価格と販売手数料
・高性能カメラの販売単価、販売時の手数料率と販売台数別の手数料金額
**************************************************
そして、リーディングシステムを訪問し提案しました。
Aさんは一通り提案書を説明したあと・・・
「製造業には不良品の検知など品質管理ニーズで売れると思うんです」
「いかがでしょうか?」
リーディングシステムの営業部長
「そうですね、うちも製造業中心に営業しているんですが、画像検知に興味を持つお客さんは多いですよ」
Aさん
「御社では製造業のお客さんが多いんですね」
「うちの新商品は製造業で実績があるので売れると思います、ぜひご検討ください」
リーディングシステムの営業部長
「営業部で話してみるよ」
2週間後にリーディングシステムの営業部長に電話すると・・・
Aさん
「営業部でのご検討はいかがでした?」
リーディングシステムの営業部長
「ニーズがあるとは思うんだけど、今は工場向け自動化システムの提案を進めているので・・・」
「生産設備の振動や温度の異常を自動で検知するシステムを提案しているんです」
Aさん
「そうなんですか・・・」
「でも、自動化システムの提案を進めているんでしたら、高性能カメラは売りやすいと思うんですが」
リーディングシステムの営業部長
「うちの営業にとって高性能カメラの提案は難しいんですよ、カメラの知識だって必要になるし」
「自動化システムの提案だって技術部と打ち合わせしながらじゃないと作れないのに、カメラの知識をつけて提案するって・・・」
Aさん
「そうですか・・・」
Aさんは、リーディングシステムに販売代理店になってもらうことができませんでした。
画像検知に興味を持つお客さんが多いのに・・・
自動化システムの提案を進めているなら高性能カメラは売りやすいのに・・・
セントテクノロジーのAさんが提案した後、
競合会社ポータル技研の営業担当Bさんもリーディングシステムに提案していました。
Bさんも同じく新商品の高性能カメラの販売代理店になってもらいたい。
Bさんは、提案書を作成する前にリーディングシステムについて調べてみました。
すると、リーディングシステムは、
・大手の化学メーカーや食品メーカーとの取引が多い。
・最近は工場向け自動化システムの提案に力を入れているらしい。
********** Bさんが作った提案書 **********
1.会社の紹介
・会社概要、組織体制、業務用カメラ専業で設立20年
2.新商品の性能と用途
・高性能カメラの性能と、同色や透明、微細な異物まで検知できる
3.競合商品との比較
・主要な競合メーカー3社の商品との比較表
・競合商品よりも性能が高くて価格が安い
4.製造業における業界別の生産課題
・化学メーカー、食品メーカー、それぞれの生産課題
例:食品メーカーの生産課題
・生産設備の自動化はすでに多くの会社で導入しているが、品質管理の自動化はこれから需要が拡大
・品質管理の自動化にはカメラの性能が重要
5.業界別の生産課題に対する新商品のニーズ
・化学メーカー、食品メーカー、それぞれに対する高性能カメラのニーズ
例:食品メーカーのニーズ
・生産工程で同色や透明の異物検知に有効(他のカメラでは小さく透明なプラスチック片などの異物は検知しにくい)
・パッケージ工程で微細な異物の検知に有効(レトルトパックの密閉部分に微細な食材のかけらが噛み込むと液漏れしやすい)
6.リーディングシステムの事業課題
・工場向け自動化システムは、競合他社も提案していて差別化が困難
・自動化システムの案件を獲得するためには、お客さんに入り込みやすいフック商材が必要
7.高性能カメラによる相乗効果
・高性能カメラは、化学メーカーや食品メーカーの品質管理ニーズで差別化でき受注を獲得しやすい
・高性能カメラは、フック商材になり、画像データと連携する自動化システムの案件も獲得できる
・すでに多くの会社が導入している生産設備の自動化以外に 、これから需要が拡大する品質管理で自動化システムの売上を拡大できる
8.販売価格と販売手数料
・手数料率と販売台数別の手数料金額
**************************************************
そして、リーディングシステムを訪問し提案しました。
Bさんが一通り提案書を説明すると・・・
リーディングシステムの営業部長
「うちの営業はカメラの知識が乏しいので、勉強会をやってもらえますか?」
「勉強会をやってもらえるなら御社の高性能カメラをうちの取引先に紹介させてもらいたい」
Bさん
「もちろん」
「性能や説明方法、あと、業界別のニーズや提案方法など、勉強会を開催して説明させてもらいます」
リーディングシステムの営業部長
「ありがとう」
Bさんは、リーディングシステムに販売代理店になってもらうことができ、取引先に紹介してもらうことが できました。
セントテクノロジーのAさんが断られたのに、なぜ?
AさんとBさんの提案書を比べて考えてみてください。
リーディングシステムの現状は・・・
・自動化システムを紹介するために多くのお客さんを訪問
・紹介したお客さんに自動化システムのニーズをヒアリング
・ニーズを聞けたお客さんには技術部と一緒に提案書を作成して提案
・提案後は、受注を獲得しようと価格や条件を交渉
このリーディングシステムに対してセントテクノロジーのAさんの提案は・・・
・製造業で高性能カメラの需要が拡大していること
・セントテクノロジーの高性能カメラの技術や性能、競合他社のカメラとの比較
この2つからセントテクノロジーの高性能カメラは製造業で売れることをアピール
・製造業や建設業界の導入事例
業界別の事例から具体的に高性能カメラが売れることをアピール
・販売価格と販売したときの手数料
高性能カメラの販売手数料で儲かることをアピール
ポータル技研のBさんの提案は・・・
・新商品の性能と用途、競合他社のカメラとの比較
セントテクノロジーの高性能カメラが競合よりも優れていることをアピール
・製造業における業界別の生産課題と新商品のニーズ
化学メーカー、食品メーカーの品質管理では高性能カメラのニーズがあり、今後さらに拡大
・リーディングシステムの事業課題と高性能カメラによる相乗効果
自動化システムは差別化が困難、案件を獲得するためにはお客さんに入り込みやすいフック商材が必要
高性能カメラを受注することで、画像データと連携する自動化システムの案件も獲得できる
生産設備の自動化以外に、需要が拡大する品質管理で自動化システムの売上を拡大できる
・販売価格と販売したときの手数料
とりあえず販売代理店の提案なので一応つけているだけ
Aさんが提案でアピールしたことは、
セントテクノロジーの高性能カメラが製造業で売れること、儲かること。
しかし、リーディングシステムが取り組んでいることは自動化システムの提案です。
自動化システムの売上目標を目指して、一生懸命に多くのお客さんを訪問し、自動化システムを紹介し、ニーズを聞き、提案したり、交渉しているときに、うちの高性能カメラは売れる、売ってくださいと言われても・・・。
Bさんが提案でアピールしたことは、
自動化システムの案件を獲得できること、品質管理で自動化システムの売上を拡大できること。
高性能カメラを売ることで、リーディングシステムが取り組んでいる自動化システムの提案が進むかもしれない、自動化システムの売上が拡大するかもしれない・・・。
みなさんがリーディングシステム(販売代理店)だったらどうします?
販売代理店への提案は、自分の会社ではなく、販売代理店の視点で考えなければなりません。
自分の会社の視点
この商品は素晴らしい、売れる、売ってもらいたい、売ってくれたら手数料を支払う・・・全部、主語は自分の会社か商品。
高性能カメラは売れる・・・主語は商品。
セントテクノロジーは売ってもらいたい・・・主語は自分の会社。
販売代理店の視点
販売代理店の売上や事業拡大、営業活動にとって何が必要か?自分の会社の商 品を売ると、販売代理店の売上や事業拡大、営業活動にとって何が良いのか?・・・全部、主語を販売代理店で考えるもの。
リーディングシステムは自動化システムの案件を獲得するためにフック商材が必要・・・主語は販売代理店。
リーディングシステムは高性能カメラを売ることで、自動化システムの案件を獲得できる・・・主語は販売代理店。
販売代理店の視点による提案で最低限必要なこと
・販売代理店の戦略と事業や商品の課題
・販売代理店のターゲット顧客層に対する自分の会社の商品のニーズ
・販売代理店の事業と自分の会社の商品の相乗効果(自分の会社の商品を売ることで、販売代理店の戦略と事業や商品の課題にとってどのようなメリットがあるのか)
最低限この3つを具体的に考えて提案しなければなりません・・・具体的に。
多くの会社の営業現場を見ていると、販売代理店に対し自分の会社の視点で提案しているシーンが多く見受けられます。
みなさんはいかがでしょうか?
商品の仕組みや性能、実績や事例、競合商品との比較を一生懸命に説明しアピール。
「この商品は素晴らしいです、売れる商品です」
そして、相乗効果やメリットは漠然としか説明していない。
「製造業で需要が拡大しているので売れる、販売手数料で儲かる」
「当社の高性能カメラは御社の自動化システムと相性が良い」
販売代理店にとっての相乗効果やメリットは漠然とではなく、具体的に考えて提案しましょう。
「高性能カメラを受注することで、画像データと連携する自動化システムの案件を獲得できる」
「設備の自動化以外に、需要が拡大する品質管理で自動化システムの売上を拡大できる」
販売代理店がみなさんの会社の商品を提案する理由は、みなさんの会社の商品が素晴らしいからではありません。みなさんの商品が売れるからという単純な理由ではありません。
販売代理店には、進めている戦略があり、事業や商品、営業活動になんらか課題があり、その戦略や課題に対する相乗効果やメリットがあるからです。
販売代理店への提案では、販売代理店の視点で、戦略や課題に対する相乗効果を具体的に考えましょう。
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