営業強化の問題点①
営業強化の一番の問題は経験・感性に依存していること
2018年3月15日
あと少しで4月・・・3月決算の会社では来期の営業について考えはじめているころでしょうか。
毎年、期が変わると営業強化を考えるが、なかなか変わらない・・・
営業強化は難しいものです。
なぜ、営業強化は難しいのでしょうか?
○○社にノートPCを提案していた営業担当Aさんが、上司Bさんに相談していました。
Aさん
「うちの商品の薄くて軽いという強みをアピールしたんですが、いまいち顧客の反応が悪くて・・・」
「競合商品の方が安いので負けてそうなんです」
Bさん
「○○社の同業の△△社に薄くて軽い方が良いと言って切り替えてもらったじゃない。
カタログとか持ち歩く資料が多いのに、以 前使っていたノートPCが重くて持ち歩かなくなってしまったという理由で」
「おそらく○○社も同業だからカタログとか持ち歩く資料は多いはずだよ」
「△△社の事例を説明した?」
Aさん
「してません」
Bさん
「総務の人だと営業のことをわかっていないケースも多いから事例を説明しないと」
結局、Aさんが説得する自信がないと言うので上司のBさんが同行することになりました。
そして、顧客との商談で・・・
顧客
「うちの会社は営業社員に甘いんですよ。他社は、もっと厳しいのに・・・」
すると、上司Bさんは、
営業社員が持ち歩いている資料や移動手段や時間をヒアリングして・・・
「営業先は交通の便が悪いところが多くて電車での移動時間が長いし、カタログや資料も多いようなので大変ですよね」
「今でも荷物が重いと思っている営業社員に配布するノートPCが重いと感じさせたら持ち歩かなくなるのでは」
とヒアリングした内容を踏まえて説得しました。
しかし、△△社の事例を説明しませんでした。
商談を終えて帰りの電車の中で・・・
Aさん
「なんで、△△社の事例を話さなかったんですか?」
Bさん
「相手の担当者は、自分の会社の営業社員に不満を持っているから△△社の話をしても「他社は他社、うちはうち」って言われて逆効果になると思ったから」
そして
「営業は相手のタイプや反応で変えないといけないんだよ」
「だから、相手をよく見てどう思っているかを感じないといけないんだ」
この後、Aさんは「薄くて軽いという強み」をアピールする力が身についたのでしょうか?
Aさんがわかったことは、
・似たような状況や課題を持つ顧客の事例を説明してアピールする
・顧客のタイプや反応によって変えなければいけない時もある、説明しない方がよい時もある
しかし、
顧客の状況や課題も様々・・・
顧客のタイプや反応も様々・・・
その結果、相手の反応に合わせてその場で考え対応するしかなくなる・・・
そのためには、感性が重要だと指導される・・・
「営業は感性が大切」という言葉をよく聞きます。
では、感性はどうやって身につけるのでしょうか?
感性を身につけるためには場数と経験が必要です。
見たことも経験したこともなければ感じることはできません。
様々な場数を踏み経験を積むことで様々なことを感じ、感性が磨かれ身につくのです。
はたして、様々な状況や課題の顧客、様々なタイプや反応の顧客に対する営業力を身につけるための、様々な場数を踏み経験を積むことは可能でしょうか?
場数、経験に依存する営業の問題とは?
場数、経験に依存する営業には3つの問題があります。
1つ目、必要な場数を踏み経験を積むまでには相当な期間が必要です。
様々な場数を踏み経験を積むためにはある程度長い期間が必要です。
市場の変化が早く、戦略や事業も短期間で変化していく時代です。そして雇用の流動化が進み、新入社員もスキルや成果が上がらなければ短期間で退職してしまうことが多い時代です。場数と経験で営業力を身につけるまで待っていられるでしょうか?
2つ目、経験とは過去のものです。
市場も顧客も事業や商品も、変わっていく時代です。
変わっていく、新しい市場や顧客、新しい事業や商品に対応するためには、変わっていく新しいものに対応するための新しい方法が必要です。新しいものに対して過去のものである経験だけで通用するでしょうか?
3つ目、場数、経験で身につけた力は改善しにくい。
場数、経験で身につけてきた力は、長年の習慣によって身についてしまった癖のようなものです。
癖とは、無意識に自然に行ってしまうものです。猫背という癖がある人に「背筋を伸ばしなさい」と指導してもなかなか治らないでしょう。
場数、経験で身につけてきた癖のような営業は変えにくい、直しにくいものです。
しかし、多くの営業担当者は、やり方を教わり営業力を身につけてきたわけではなく、場数、経験で育っています。
会社に入社して、商品知識や会社の事、仕事の流れを一通り教わり、やり方がなく先輩と同行し「見て盗め」「見てまねをしろ」という教育。
その後、自分で場数を踏み経験を積み、前例のような上司や先輩の経験と感性に依存した指導を受け、育ってきています。
その結果、
・変化する市場や事業、戦略に対応できない
・新人や部下が育たない
・個人主義になり組織的な営業ができない
・自分の営業を改善する、変えることができない
営業を強化するためには、まずは弊害となっている経験・感性依存を脱却しなければなりません。
場数、経験で身につけてきた営業を変えるためにはやり方(型や方法)が必要です。
けっして、場数や経験、感性が必要ないと言っているわけではありません。
営業は、大半が人と人とのコミュニケーションで成り立つ仕事です。相手が思っていること、考えていることを感じるという感性も必要です。
そして、その感性を身につけるためには場数、経験も必要です。
つまり、営業強化に必要なものは「型+応用方法(実践方法)+場数」です。
「薄くて軽い」という強みをアピールする力を身につけるためには・・・
①.「薄くて軽い」という強みをアピールするための型
・似たような課題を持つ顧客の事例を説明する方法
・相手の状況を聞き、薄くて軽いという強みの必要性を理解させる方法
・ ・・・・・
といったいくつかの型を作り、教える。
②.相手の状況に合わせた応用方法(実践方法)
・商談の中で事例を説明するタイミング
・事例を説明するためのコミュニケーションの入り方やテイスト(話し方)
・相手の反応によって説明を変える方法
・ ・・・・・
といった相手の状況に合わせて型を実践する方法を教える。
③.感性を身につけるための場数、経験
作り、教えた①②の型や応用方法を様々な顧客で実践して場数を踏み、経験を積み感性を身につけさせる。
営業の強化はこの①②③で実現するのです。
営業は、商品の説明、課題やニーズの発掘、提案書の作成やプレゼン、予算や決裁者対策、競合対策、顧客との関係構築、紹介の獲得や新規アプローチ、条件の調整・・・幅広い仕事で、多様なやり方(型や応用方法)が必要です。
このやり方があまりにも幅広く、多様であるため着手できず、場数、経験、感性に依存している営業がほとんどです。
必要な幅広い、多様なやり方の中からひとつでもよいので、型と応用方法(実践方法)を作り、教え、場数を踏ませてみてください。
営業は、説明やヒアリングの方法、説得方法などやり方によって大きく成果が変わってくる仕事です。
売上目標達成のために、場数や経験、感性ばかりに依存するのでなく、まずはみなさんの営業のやり方を考えてみてください。
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