紹介してもらうためには
自分のためにでなく相手のためにを切り口に
2017年1月1日
営業マネージャーから部下の指導についてこのような悩みを相談されることが多い・・・
「取引している部署だけでなく他の部署にも仕事があるのに、紹介をもらってこない」
「今の担当者は人脈のある人だから紹介をもらえばいいのに、紹介をもらってこ ない」
「目の前の仕事の話だけで、他の仕事の話をしないから案件が増えない」
この理由はたいてい以下の3つです。
「聞いても教えてくれない、紹介をもらえない」と思っている
「何て言ったらよいかわからない、がめつく思われるのでは」と思っている
そもそも「他の仕事や紹介に対する意識」が低い
このうちの「他の仕事や紹介に対する意識」は、計画や戦略、マインドの問題。
今回は、「聞いても教えてくれない、紹介をもらえない」「何て言ったらよいかわからない、がめつく思われるのでは」についてお話ししましょう。
先日、このようなことがありました。
あるシステム会社の営業担当Aさんが、
・展示会で名刺交換した〇〇社の経営企画部の人と商談し商品を説明
・すると、管轄は情報システム部門だからと言われた
会社に戻って上司に報告したところ、
上司
「情報システム部門の紹介をもらおうとしたの?」
Aさん
「紹介をもらえる雰囲気じゃなかったので言えませんでした」
上司
「言わないと話にならないだろう、とりあえず紹介をも らえ」
その後、Aさんは面談のお礼を兼ね電話して「情報システム部門を紹介して欲しいのですが」・・・結局、断られた。
翌週の営業会議で、
上司
「〇〇社と商談してたけど、〇〇社の課題やニーズは何?」
Aさん
「商品説明で時間がかかってしまったので聞いてません」
Aさんはなぜ紹介をもらえなかったのでしょうか?
顧客の立場で考えてみましょう。
顧客が紹介しようと思うパターンは以下の3つです。
➀.Aさんの人間的な魅力により応援したい、協力したいと思う
➁.顧客担当者が自分のためになると思う
➂.顧客担当者が紹介先のためになると思う
Aさんは、
商談で「紹介をもらえる雰囲気じゃなかった」
電話して「情報システム部門を紹介して欲しい」
そして、〇〇社の課題やニーズを把握していませんでした。
顧客の課題やニーズ(相手の悩みや欲しいもの)を知らないで言えることは「当社の商品を紹介したいので情報システム部門を紹 介してください」だけです。
つまり、自分(営業)都合だけ・・・
自分の都合で紹介をもらえるのは、顧客担当者が➀の場合だけです。
つまり、顧客がAさんに対し、人間的な魅力により応援したい、協力したいと思っている場合だけです。
では、顧客担当者がAさんのことを人間的な魅力により応援したい、協力したいと思える関係を築いていたのでしょうか?
宴席など顧客との深い関係を築く場が少なく、生産性や効率化を重視するあまり顧客との関わりが淡白になり、また、顧客が多くの取引先と関わり、コンプライアンス意識の高まり、組織や役職間のしがらみがある状況で「人間的な魅力により応援したい、協力したい」と思える特別な関係を築くことが難しくなっています。
「人間的な魅力により応援したい、協力したい」が無理であるとは言いません。
「人間的な魅力により応援したい、協力したい」と思わせる関係を築くことも大切です。
しかし、その魅力を身につけるには時間がかかるし、理解させるのも難しい・・・
すると、紹介をもらえるのは➁➂の場合。
つまり顧客が「顧客自身のため」か「紹介先のため」になると思う場合です。
顧客担当者が顧客自身または紹介先の状況や悩んでいることを理解し、その悩みの解決に役立つ(メリット)かもしれないと思う場合です。
皆さんがプライベートで人を紹介するときと同じです。
「彼女がいないので女性を紹介して欲しい」と言われたときに、
➀.「いい奴だし、今まで世話になっている友人だから紹介してあげよう」
➁.「自分にも紹介してくれるから紹介しよう」
➂.「いい奴だし、知人女性のBさんも彼氏いないから紹介しよう」
いい奴だと思っていない知人に対し自分にも女性にもメリットがない状況で、「自分はいい人です。だから女性を紹介してください」とお願いされても紹介しないでしょう。
そもそも「紹介してください」と言いにくいでしょう。
相手は女性の状況や悩みを理解し、紹介したら女性にメリットがあると思えば紹介 しやすくなります。
「Bさんは最近彼氏と別れた」「趣味がドライブ」「まじめな人が好き」「彼氏がいなくなってさみしがっている」というBさんの状況・悩みを理解して、知人に対し「彼女がいない」「趣味がドライブ」「まじめ」とBさんに合うと理解すると、Bさんにとっても良い(メリットがある)のではと思い紹介しようと思う・・・
営業で顧客担当者から紹介をもらうのであれば、顧客自身や紹介先の状況・課題について会話をして、その状況や課題にとって自分の会社や商品が顧客自身や紹介先のメリットになる・・・だから紹介して欲しいと伝えるのです。
商品紹介や営業活動という自分のためという理由ではなく、顧客自身または紹介先のメリットという相手のためという理由にすることで紹介をもらいやすくなるのです。
いい奴だと思っていない知人に対し自分にも女性にもメリットがない状況で「自分はいい人です。だから女性を紹介してください。」では紹介しません。
自分のことを魅力的に思っていない、顧客自身や紹介先のメリットもわからない状況で「当社の商品はいい商品です。だから情報システム部門を紹介してください。」と言われても紹介しないでしょう。
そもそも「紹介してください」と言いにくいでしょう。
意外と「当社の商品はいい商品です。だから情報システム部門を紹介してください。」と自分本位の紹介依頼をしている人は多いものです。
紹介をもらうときは、相手の悩みとメリットを伝えましょう。
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